貸借対照表(B/S)における資産と負債を理解する②
前回は、貸借対照表の基礎・基本をお話ししました。
このケースは、現金の資産と負債しかなかったので、
理解しやすいケースだったかと思います。
では、いよいよ不動産をローンで購入した場合のB/Sを考えてみましょう。
今回は、
- 貯金が300万円
- 1000万円の融資を得て、1000万円の不動産を購入
のケースを考えてみましょう。
ここで、貸借対照表を考える際に、重要なことがあります。
それは、不動産は購入時の金額ではなく、
「いまの資産価値で、いくらになるか?」
という価値で表すことです。
いまの資産価値は、購入時の金額ではありません。
こちらの記事で紹介したような、積算価値や収益価値のことです。
さて、話を戻します。
先ほどの例において、
不動産については次の通りだったとします。
- 積算評価が800万円の不動産を1000万円で購入した
この場合の貸借対照表は、このようになります。
1000万円のローンで1000万円の不動産を購入しているのですが、
積算評価が800万円しかないため、
このようなB/Sになってしまいます。
純資産が100万円しかありません。涙目
これを見て、こんなことを考えた方がおられるかもしれません。
『もし、積算評価がもっと低かったら、どうなっちゃうの?』
この感覚、非常に大切です。
では、上記の例を一部修正して、
- 積算評価が500万円の不動産を1000万円で購入した
とした場合、B/Sはどうなってしまうのでしょうか?
答えはこれです。
一見、バランスシートの左右がバランスしていないようにも見えますが、
この場合、純資産がー200万円となり、右下のデッパリを打ち消すことで、
結局はバランスしています。
(B/Sの全体の高さは800万円ということになります。)
これはどういうことか?
『あなたは資産額以上の負債を背負っています。』
ということです。
このように純資産がマイナスになることを、
と言います。(ニュースでもたまに聞きますよね??)
また、債務超過状態にある人のことを
信用棄損の状態にある
とも言います。
こんなこと、本当に起こるの?
と思われるかもしれませんが、
けっこう普通にあり得ます。
不動産を新築する場合、総工費よりも積算評価の方がどうしても低くなるため、
フルローンで不動産を新築した場合、こうなります。
また、区分マンションは積算評価が非常に小さいので、
ローンで区分マンションを購入した場合も、信用棄損になりがちです。
では、信用棄損になると、何か困るのか?
信用棄損になっても、その1軒を買っておしまいなら、
特に問題はありません。
時間が経てば、ローンの返済が進み、負債額がどんどん減って、
最後には負債ゼロ、すべてが純資産になって、メデタシメデタシ。
一方、ローンが残っているうちに次の不動産を買おうとしたとき、
問題になることがあります。
銀行は、信用棄損の状態にある人に
お金を貸したがらないからです。
うわさでは、2~3棟くらいなら、
信用棄損でも気にせず、買い進められるそうですが、
それ以上になると、銀行からお金が借りられなくなるようです。
それはすなわち、不動産を買い進められなくなることを意味します。
不動産投資をする場合、(普通のビジネスもそうですが)
自分の貸借対照表の左右のバランスを頭にイメージしながら進めないと、
どこかで行き詰ってしまうのです。
これが、貸借対照表の考え方が重要だと言う所以です。
ぜひ理解してくださいね!!